俺のメディア論の2本目は、メディアの「文脈形成と存在感と影響力」について。

この3つの考えは確証がある話ではありませんが「こういうことなんだろうな」という経験をまとめたもので、書きたいことを書き殴ります。「こいつは何言ってんだ」と思いながら読んでいただければ。だけど、メディアとはなんなのか?という本質に迫れる考えなはずです。

文脈形成

メディアの醍醐味はこれ!文脈の形成だと思っています。コンテキストと呼ばれるものですね。

たまに勘違いされているように思うのですが、メディアは情報発信源ではなく、「媒介・媒体」するのが本来の役目。愛用しているMac内蔵の辞書、スーパー大辞林で調べると以下の様に教えてくれます。

メディア
media

1.手段。方法。媒体。特に,新聞テレビラジオなどの情報媒体。
2.情報を保存する外部記憶装置の媒体。磁気ディスク光ディスクなど。
3.情報を頒布する手段。コンピューターの分野では,2のメディアに加え,通信回線などが利用される。

1で手段、方法、媒体とあるように、発信源があり情報受信者の間にいるのが「メディア」なので、「発信源がメディアではない」と考えています。オウンドメディアや個人日記系ブログは発信源に限りなく近い形態だと思いますけどね。

プレステ4で言ったら、デベロッパー(発信源)が作ったゲームが記録されているブルーレイディスク(メディア)。プレステ4と人間の間だったらテレビ。テレビによって画質・サウンド・大きさが違うように、媒介するフィルターが違えば見え方が違うものがメディアだという認識です。スマホもメディア。コンテンツ同様にすべてがメディアになり得ます。そして、インターネットに存在するものは全て媒介する役目としてのメディアだと捉えています。

ちなみにウェブサービスのmediumは、お肉の焼き加減で使われるミディアムと同じ言葉ですが、こちらの意味も媒介するもの、媒体、中間です。良い名前を付けたなと思います。

メディアでいう文脈は、記事ネタの選択、記事一つ一つの配置、記事内の文章と文章・文字と文字との関係性、写真・動画の選択と配置と加工方法、記事を掲載する時間・曜日・時期などなど、多様な要素から組み立てられていくもので、掲載されたコンテンツをどう解釈するかは読み手に委ねられています

文脈で編集者が意識したいことは、そのメディアが過去から現在までどんなコンテンツを掲載してきたかを把握して未来を考え、世の中はどんな動きをしているのかを知ること。また、編集者個人の関心を、読者の関心へ合わせ、どうやってコンテンツを作り出し、表現していけるかを考える努力だと思っています。今風な言葉を使うと、「そのコンテンツを作ったらエンゲージするのか?」という問いを編集者が持つことです。

これらは編集方針によって様々な捉え方があるため、「世の中の流れなんて知ったことじゃねー」というメディアがあってもいいですよね。

ちなみに、記事が読まれないのは、文章・編集テクニックや流通面を除くと、ほぼ文脈に集約される話だと考えています。読まれない理由は自分視点からのみでしかコンテンツが作られていないことが多いからです。つまりは、読者の視点、世の視点が欠けており、コンテンツが人とうまく接点が作れていない(エンゲージしない)のが原因。文脈からすれば、ニュース記事はトラフィックを集める元になりますし、この記事は文脈からは少しズレているので読まれないという前提で書いています。

どうすればユーザーへ近づけるのかという話は、需要と供給や、サービス開発で使われていた言葉の「プロダクトマーケットフィット」が近い考え方なのかなと思います。

いかに読者と対話できるコンテンツを作るかは、データが教えてくれます。

存在感

自慢じゃないですが、僕自身は存在感を消すタイプ。お酒飲んでわっしょーいと騒ぐ人間でもないです。

それはまぁいいとして、メディアの存在感と影響力って最近では耳にしなくなりましたが、メディアの意義が見えづらくなっている今だからこそ重要なワードなのではないかなと思うことがあります。編集者もその意義が見えづらくなってきているのも事実なのではないでしょうか。理由として考えられるのは、複雑化したメディア形態とネットワーク。一つ一つを分解していけば難しいことではないのでしょうが、明らかに混乱しがちな状況です。

メディアの存在感は小さくても大きくてもアリだと考えており、予期せず存在感が大きくなりすぎることもあるのがウェブメディア。だから編集方針による軌道修正は大事だと思っています。メディアに何を言わせて、色を付けていくのかなどを考えるのも編集者や編集方針の役割でしょう。

メディアを読んでもらいたい人に、どう認知されたいのか。どうやって存在を知ってもらうのか。どんなコンテンツを作れば認識してもらえるか。一朝一夕で達成できるものではありませんが、これらをひっくるめて考えるのが編集長なんだろうなと考えています。

影響力

影響力は、権威や希少性といったものから成り立っているもので、目に見えづらいもの。メディアでの影響力は、コンテンツから出される空気感や雰囲気、コンテンツ自体の面白さなどから醸成されており、それらを積み重ねていく結果、信頼や信用といったものへ変換されるのだと思います。

商業ウェブメディアの場合、影響力はPVやUUやシェアといった数字に置き換えられることが多いですね。だけど、これが本当の影響力かというと、ちょっと違うかなと。コンバージョンとは別に、メディアから通じてコンテンツが読まれ、その「人」に与えた感情的な影響は、計測することが難しいからです。僕がツールを調べきれていないのかもしれませんが。

現在、PVではない指標の模索が続けられており、時間に置き換えられるような気配が薄っすらありましたが、現状のメディア業界の話を聞くに、アクセス解析はGoogle AnalyticsやAdobe Analyticsが主流の今では、転換点はもう少し先なのかなという認識です。

それではまた!

この記事の著者情報

大野 恭希
株式会社HF.M 代表取締役。元ギズモード編集長。新しいものが好き。詳しいプロフィールや実績は右上の「代表プロフィール」からどうぞ。